一先会の会員を始め、『書の美』誌で学ぶ人や書に関わる人達を紹介させていただきます。記念すべき(?)第一回は、一先会の会員から、京都橘大学の書道コースを卒業されて1年目の加賀山紀子さんに登場していただきました。

加賀山紀子

大学で書道を学ばれていたんですね?

加賀山:はい、京都橘大学日本語日本文学科書道コースで勉強させていただきました。漢字は吉川蕉仙先生、仮名は横山煌平先生が教えてくださりました。

書道はいつから始められたんですか?

加賀山:小学校3年生の時から、地元の教室で文化書道を始めました。

文化書道というと西脇呉石先生の?

加賀山:はい、そうです。

書が面白いと思ったのはいつ頃からですか?

加賀山:保育園くらいの頃から何故か字を書くことは好きでしたので、3年生になって書道を始めてからは、教室に通うようのがすぐに楽しくなって喜んで行ってました。

じゃあ結構褒められていたんでしょうね(笑)?

加賀山:そうですね、教室の中では結構褒めていただいておりました(笑)

何という先生ですか?

加賀山:大石敦子先生という近くにお住まいの先生でした。

大学で書道を学びたいと思ったのは?

加賀山:高校の授業で書道を選択していたのですが、私が2年生の時に亀岡高校に平田光彦先生が赴任してこられて、「大学で書道を専攻できるところがあるよ」ということを教えて下さって。興味が湧いたので色々な話を伺っているうちに大学で書道を学んでみたいなぁと思うようになりました。

高校生の時から沢山書いていたんですね?

加賀山:いえ、私は吹奏楽部に入っていましたので放課後はそちらの練習が主でした。吹奏楽のコンクールやパレード、定期演奏会など行事も多かったので練習も沢山ありまして。家も学校から大変遠かったですし、本当は書道もしたかったんですけど吹奏楽一本で頑張りました。ですから本格的に書道の練習を始めたのは3年生になって書道で進学することを決めてからですね。それも夏休みに行われる京都の吹奏楽コンクールが終わってからですね。

ちなみに楽器は何を?

加賀山:一番大きな楽器で、バンドを支えるチューバというベース楽器を吹いていました。

中学生の時も吹奏楽を?

加賀山:いえ、小さい時からピアノを習ったりしていて音楽も好きだったんですけど、私が住んでいる地域が亀岡の市街から少し離れた田舎でして、中学校も小規模でしたので吹奏楽部がありませんでした。女の子はテニス部か陸上部かバレー部の三択という感じで(笑)テニスをしていました。

運動神経も良いそうですし、何でも出来るんですね。
大学ではどんな勉強を?

加賀山:1回生の間は基本的な古典を学びました。その後少しずつ様々な古典を学んで、3回生の終わり頃には卒業制作で基盤としたい古典を意識して勉強していました。私の場合、漢字では王鐸、仮名では香紙切を主に学びました。卒業制作もそれらをもとに書きました。

じゃあ王鐸や香紙切を勉強し始めたのは2回生頃からですか?

加賀山:そうですね。ただ、高大展(全日本高校・大学生書道展)などには1回生の時にもう王鐸や香紙切の臨書を出品していましたし、2回生になるとそれぞれ倣書で高大展や橘大学の展覧会に出品したりしていましたので、半紙書きをする時には自分の好きな初唐の三大家の楷書や仮名なら高野切三種など基本的な古典を、展覧会には王鐸や香紙切という様に自然と書き分けていたようです。高校生の時に平田先生にお手本をいただいて2×8に王鐸を書いたのが初めてですね。

他に好きな古典は?

加賀山:米ふつも好きで半紙書きをよくしていました。

作品(加賀山)

京都橘女子大学卒業制作(平成17年度)

なるほど、漢字の作品を拝見していると、大変華やかな線質で連綿も単体もとてもお上手ですが、王鐸に米ふつが入ってきているのですね。
それらは吉川先生の影響ですか?

加賀山:それもあると思います。吉川先生の強くて芯のある書に憧れましたので、卒業制作の六曲屏風は王鐸をベースに単体を主体にして書きました。

横山先生のご指導はどの様な感じですか?

加賀山:高野切に始まって、その後様々な古典を学んでいくのですが、卒業制作に向けての古典選びの際にも、必要であればそれぞれの生徒の特性などを見て、助言をしてくださることもありました。伸び伸びと各自の個性を伸ばしていただきながら、道も外れない様に(笑)見ていてくださるという感じです。

加賀山さんはどんなアドバイスを?

加賀山:私の場合は線質については褒めていただいていたんですけど、香紙切の持つ自由奔放な部分を私が採りすぎるところもあったので、造形面などでは一字一字のオーソドックスな美しい姿を学んで、それを香紙切の雰囲気の中に上手に溶け込ませるようにとアドバイスをいただいていました。

好みの書風は?

加賀山:きれいな作品が好きですね。きれいな中にも力強さや芯のあるもの、それから古典の良さが生かされたものがいいですね。漢字、仮名という区別はなく、どちらも見る事も書く事も好きです。

作品(加賀山)

京都橘女子大学卒業制作(平成17年度)

高等学校書道の教員免許も取得されたんですね?

加賀山:はい。母校で実習をしまして、横山先生もはるばる亀岡まで授業を見に来てくださいまして、それはもう、すごく緊張しました(笑)

人に教えたりはされないんですか?

加賀山:4回生の時に、近所に住んでおられる小学校の先生をされていた方に個人的に教えさせていただいたり、それからたまに平田先生に呼ばれて亀岡高校の書道部のみなさんを教えさせていただいたりしました。今年から就職しましたので今はそうした時間を取れなくなりましたが。

眼鏡屋さんで働いておられるそうですね?

加賀山:はい。京都にあるメガネのギルドという店で販売員をしております。ちょっと宣伝です(笑)

お仕事の中で書が生きるような場面はありますか?

加賀山:はい、お客様にお手紙を書いたり、それから商品の札を書いたり、それからお客様の中に芸術を好きな方がおられたりして、書の話をしたり、お客様の絵の展覧会に案内していただいて見に行かせていただいたりしています。そうして芸術を通して人と人とのつながりを築くことが出来た時に、書をやっていて良かったなぁと思います。

これからの夢は?

加賀山:はい、将来的には小さいお子さんですとか、おじいさんおばあさんなど、幅広い年齢層の方に書の楽しさを伝えられるような教室を開きたいと思っています。

じゃあ夢に向かって勉強ですね。

加賀山:はい、今は忙しいですけど、毎日少しでも筆を持つ時間を作れるようにしていけたらなぁと思います。

いいですね。頑張ってくださいね。

加賀山:はい、頑張ります。

 

加賀山さんはとても元気で明るい方でした。今回見せていただいた作品も、ご本人が仰っている通り、漢字の六曲屏風も仮名の帖作品も共に古典をしっかり学ばれていて、きれいで芯の通った表現でした。お仕事が忙しいようですが、今後の更なる飛躍を我々も応援しております。

 

PHOTO:Hirata Mitsuhiko

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